2023-02-02
<Vol.179>
全てはCRSTから始まった
島根県立中央病院 外科 前本 遼(島根県32期卒業)
☆推薦文☆
自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科では、消化器外科手術を受けられる患者さんの術後合併症の低減を目指して、日々の診療に取り組むとともに、更なる手術成績の向上を目指して様々な臨床研究に取り組んでいます。その中でも、術後Surgical site infection(SSI)に関しては、いまだWHOやCDCからの推奨が固まっていない部分にフォーカスを当て、無作為化比較試験(RCT)を実施しています。以前、一本目のRCTの概要もこの「地域医療オープン・ラボ Newsletter」に掲載していただきました。https://www.jichi.ac.jp/openlab/newsletter/letter134.pdf
今回、前本遼先生の真摯な努力と推進力のおかげで、二本目のRCTが約3年間をかけて950例を集積して無事に完結し、その結果をAnnals of Surgeryに発表することができました。Annals of Surgeryは、外科領域の世界のトップジャーナルで、その影響力は大きいものがあります。WHOやCDCから出されているSSI予防のガイドラインの次の改訂に、本論文が強い影響を与えることになるのは間違いありません。是非、本報告とともに論文自体もチャンスがあればご一読いただければと思います。
最後に、この場を借りて、ご指導いただいたiCRTの皆様に御礼を申し上げるとともに、CRST活動の益々の発展、前本遼先生の更なる飛躍を祈念して、推薦文とさせていただきます。
総合医学第二講座(一般・消化器外科) 野田 弘志
<特別号>
世界初の好塩基球分化系譜のシングルセル解析
分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部 松村 貴由
自治医科大学 分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部 松村 貴由 講師、高橋 将文 教授、熊本大学国際先端医学研究機構須田年生 教授らの研究グループは、世界で初めて骨髄における好塩基球の一連の分化過程をシングルセル解析で明らかにすることに成功しました。今回、その研究成果が「Nature Communications」誌に2022年11月18日付けで公開されましたので、松村講師に研究の背景と詳細について伺いました。
論文名:A Myb enhancer-guided analysis of basophil and mast cell differentiation.
著者名:Takayoshi Matsumura, Haruhito Totani, Yoshitaka Gunji, Masahiro Fukuda, Rui Yokomori, Jianwen Deng, Malini Rethnam, Chong Yang, Tze King Tan, Tadayoshi Karasawa, Kazuomi Kario, Masafumi Takahashi, Motomi Osato, Takaomi Sanda, and Toshio Suda
掲載誌:Nat Commun. 2022 13(1):7064. doi: 10.1038/s41467-022-34906-1. (https://rdcu.be/cZXE4)