2021-09-01
<特別号>
ADHDに対するグアンファシン塩酸塩の薬理効果を世界で初めて検出
~光トポグラフィー検査を用いた脳機能研究~
自治医科大学小児科学講座 池田 尚広
注意欠如多動症(ADHD)の治療薬であるモノアミン再取り込み阻害薬(メチルフェニデートやアトモキセチンなど)は、前頭前野を介した脳内モノアミンネットワークを賦活しADHD症状を軽減するとされています。fMRIをはじめとする脳機能研究によって、同薬剤の前頭前野における薬効反応が検出されておりました。 一方、同じくADHD治療薬として認可されている、α2A選択的作動薬〔グアンファシン塩酸塩(GXR) 〕のADHDに対する作用機序や脳における薬効反応は明らかではありませんでした。
今回、自治医科大学小児科学の池田尚広講師、門田行史准教授らは、国際医療福祉大学、中央大学、日立製作所との共同研究により、ADHDに対するGXRの薬効反応を世界で初めて検出しました。
本研究結果は、2021年6月4日、Frontiers Neuroergonomicsに受理され、さらに、2021年度 第63回日本小児神経学会で優秀賞(口演)を受賞しました。
論文名)Visualizing neuropharmacological effects of guanfacine extended release (GXR) in attention deficit hyperactivity disorder using functional near-infrared spectroscopy
著者) Takahiro Ikeda1†, Akari Inoue2†, Daisuke Tanaka1, Tamao Hashimoto2, Stephanie Sutoko4, Tatsuya Tokuda2, Yasushi Kyutoku3, Atsushi Maki4, Takanori Yamagata1, Ippeita Dan2, 5, and Yukifumi Monden1*
1 Department of Pediatrics, Jichi Medical University, Shimotsuke, Japan
2 Faculty of Science and Engineering, Applied Cognitive Neuroscience Laboratory, Chuo University, Bunkyo, Japan
3 Research and Development Initiatives, Applied Cognitive Neuroscience Laboratory, Chuo University, Bunkyo, Japan
4 Center for Exploratory Research, Research & Development Group, Hitachi, Ltd., Hiki, Japan
5 Center for Development of Advanced Medical Technology, Jichi Medical University, Shimotsuke, Japan
†These two authors contributed equally to this study.
尚、本研究は塩野義製薬株式会社、武田薬品工業株式会社に支援を受けた特定臨床研究(自治医大倫理委員会承認T19010)です。
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