2021-07-30
<Vol.173>
地域から発信した小児の呼吸機能に関する研究
松山市民病院 八木 悠一郎 (愛媛県 35期卒業)
☆推薦文☆
八木先生は,四国の西の港町で自治医大の卒後義務を履行するなか,一つの疑問を抱き,仮説を立て,そして実証しました。さらにその論文がスペインの学会誌に掲載されました。八木先生は元来小児科医を志していましたが,多くの自治医大卒業生がそうであるように内科医として義務履行をしていました。そのような環境下でもモチベーションと小児科マインドを維持し続けたことが今回に結果に繋がったわけで特筆すべきだと思います。研究調査は地元の先輩小児科医の指導を仰ぎながら行われましたが,八木先生の真摯な姿勢とコミュニケーション能力,そしてバイタリティによるところが大きいと思われました。CRSTでは,自治医大呼吸器内科の坂東先生からいただいた示唆に富むアドバイスに沿いながら論文原稿を改訂しました。そして投稿した和文誌ではアクセプトされませんでしたが,ちょうど八木先生は別の研究で学位論文を英語で作成していましたので,いっそ本論文も英文に書き直してみるのもありかなと思い提案したのでした。CRSTの歴史の中でも,和文誌でリジェクトされた論文がIFの付く国際誌に掲載された例は聞いたことがないそうです。こうした義務年限中の派遣先での業績は,医学生や若手医師の素晴らしいお手本になるでしょう。
小児科学講座 熊谷 秀規
<特別号>
神経ペプチドオキシトシンのμオピオイド受容体へのPositive allosteric 作用
〜オキシトシンの新たな生理機能と新規疼痛治療薬への可能性〜
自治医科大学外科学講座消化器一般移植外科学 目黒 由行(茨城28期卒業)
自治医科大学外科学講座消化器一般移植外科学部門 目黒由行助教 (茨城28期卒業)は、国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野 上園保仁分野長らと共に、神経ペプチドであるオキシトシンがμオピオイド受容体に対してPositive allosteric作用を有することを明らかにし、その研究成果がJournal of Pharmacological Sciences誌に掲載されました。今回、その研究成果に対し日本薬理学会からThe JPS Prize 2021 Awards (https://pharmacol.or.jp/award/jps-prize)を授与されましたので目黒氏に研究内容について伺いました。
論文タイトル: Neuropeptide oxytocin enhances μ opioid receptor signaling as a positive allosteric modulator
論文著者: Yoshiyuki Meguro, Kanako Miyano, Shigeto Hirayama, Yuki Yoshida, Naoto Ishibashi, Takumi Ogino, Yuriko Fujii, Sei Manabe, Moeko Eto, Miki Nonaka, Hideaki Fujii, Yoichi Ueta, Minoru Narita, Naohiro Sata, Toshihiko Yada, Yasuhito Uezono.
掲載雑誌: Journal of Pharmacological Sciences,137(2018), pp. 67-75.
https://doi.org/10.1016/j.jphs.2018.04.002