2021-02-01
<Vol.167>
僻地での研究・米国MPH留学・膵臓基礎研究
京都大学 iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門 大学院生 畑野 悠(広島県32期卒業)
☆推薦文☆
このたび畑野悠先生の論文が名門誌Ticks and Tick-borne Diseasesに掲載されました。誠におめでとうございます。この研究の凄いところは、広島県の山間僻地の2病院だけで日本紅斑熱に関する世界最大の症例数を集めた点です。これは日本紅斑熱が広島の田舎に多い風土病であること、畑野先生自身が自治医大卒業生であること、以上の2点を最大限活用したことによって可能となりました。田舎だからあれが無いこれが無いではなく、「Bloom where God has planted you(置かれた場所で咲け)」を実践し続けた結果であり、素晴らしいの一言です。このような姿勢がフルブライト奨学生としてのカリフォルニア大学バークレー校への大学院留学、デューク大学および京都大学での研究にも繋がっているものと思われます。畑野先生の今後の益々のご活躍を期待しております。
広島大学大学院医系科学研究科地域医療システム学 松本正俊
今回発表された論文(Ticks Tick Borne Dis. 2021;12:101544)には、日本紅斑熱82症例がまとめられています。畑野先生が優れていたのは、単純なケースシリーズに終始しようとせず、新規性(strong point)を見出す努力を研究開始前に意識的に行っていたことです。また、実際にこの論文を読んでみてください。英文科学論文のお手本というべき記述がなされています。本来、方法や結果はこのように逐一、丁寧に説明し記載されなければなりませんし、Discussionの展開や表し方も見事です。特に初心者は、英語でうまく表現できないこともあって、説明を端折る傾向にあるので、私は教室員にこの論文から書き方を学ぶことを勧めています。
自治医科大学総合診療部門・附属病院総合診療内科/感染症科 畠山修司