ご挨拶

基礎研究医養成活性化プログラム
“病理専門医資格を担保した基礎研究医養成プログラム”
千葉 滋

  • 本事業総括
  • 筑波大学人間総合科学研究科研究科長
  • 筑波大学医学医療系教授

我が国における基礎医学研究医を目指す医師の減少に歯止めをかけるとともに、我が国の国際競争力を強化することは喫緊の課題です。
この目的のためキャリアパスの構築までを見据えた体型的な基礎医学教育を実施する取り組みである“基礎研究医養成活性化プログラム”(大学院教育プログラム)がスタートしました。本プログラムもその一つで、筑波大学、自治医科大学、獨協医科大学が協働して取り組むものです。プログラム名を“病理専門医資格を担保した基礎研究医養成プログラム”としました。全ての医学研究の基本は病理学にあると言っても過言ではありません。
本プログラムでは、病理形態学的な視点を基盤として包括的な視点を持った基礎医学研究医の養成を目的としています。一方で、基礎研究医がその興味を創造的な研究に展開していくには、生活を支える安定した収入が必須です。基礎研究教育と並行して行われる病理専門医教育は本プログラムの大きな特徴ですが、ここには基礎研究医の経済基盤を確立するという副次的な目的が含まれています。
本プログラム終了時には日本病理学会が行う病理専門医試験の受験資格を得ることが可能です。病理専門医としてのプロの目を持った基礎研究医が数多く育つことを願います。

病理学は、細胞生物学、分子生物学的な基礎研究から、症例解析による臨床病理学的研究まで、幅広い領域をカバーした奥行の深い学問です。
本コースでは、はじめに病理標本を観察することにより、さまざまな疾患の形態学的な特徴を把え、その背景にある分子レベルの異常について考える力を養成します。
研究テーマについては、統合病理学、人体病理学、病理診断部の3部門が専門性を生かした研究を行っており、また他の研究室での研究も可能となっています。
それぞれの興味に応じて柔軟なコースの選択も可能ですので、ぜひ意欲あるみなさまのご来訪をお待ちしています。

本プログラムは複数ある“基礎研究医養成活性化プログラム”の中でも、筑波大学、自治医科大学、獨協医科大学が協働して取り組む大学院教育プログラムで、プログラム名を“病理専門医資格を担保した基礎研究医養成プログラム”としました。基礎研究医の減少に歯止めをかけるための実践的なプログラムです。
具体的には診断病理学を基盤として、多くの基礎研究グループの支援を受けて基礎研究医を育成するもので、学生には本人とって興味ある研究室を選択するために初年度に研究モラトリアムの時間を与えます。
2年度から選択した基礎研究室での研究を行うことになりますが、一方で各大学の附属病院において診断病理学の修練も同時に積む機会も与えます。このようにして病理形態学的な包括的な視点を持つ基礎研究医を養成したいと思います。
本プログラム終了時には日本病理学会が行う病理専門医試験の受験資格を得ることが可能です。本プログラムは基本的に初期臨床研修を終了した医師を対象にしているが、その他に“社会人大学院病理コース”として後期臨床研修終了後の医師を対象にした教育プログラムコースも用意しています。
基礎研究に情熱を燃やす多くの医師に集まってもらえることを祈念しています。

獨協医科大学には、基礎医学講座としての病理学、臨床医学講座としての病理診断学が配置されており、病理専門医取得に向けた病理診断トレーニングは病理診断学講座のスタッフが担当する病理診断科で、病理学領域の研究は主に病理学で行うことになります。
また本学には、病理学に加え、独創的な研究を行っている13の基礎医学講座があり、本プログラムに参加する大学院生に広く研究の場が用意されています。
病理学は疾患の実像を形態面から客観視できるという強みをもった医学分野であり、病理診断トレーニングを行うことによる多種多様な多数の疾患の実像観察を通じ、大学院生の皆さんにリサーチマインドが醸成され、やがてその情熱が質の高い基礎医学研究へと展開されていくことを期待しています。
どうぞ獨協医科大学にいらして下さい。そして壬生の地で、思う存分研究生活を満喫して下さい。